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オーバー・タイム

オーバー・タイム (角川文庫)


最後に会った日の記憶は斑(まだら)になっていた。
転勤と結婚の報告をされたことは覚えているが、それ以外にどんな話をしたのかは覚えていない。
何しろ9年も前のことだ。
当時、その男と呑むのはすっかり日常だったし、結果的には最後となったその日に会ったのも、特別な理由があってのことではなかった。



男の記憶によると、9年前のその日あたしは、「住む土地が離れるわ結婚するわじゃ、もうサシでは呑めないね」と言ったらしい。

「結婚前だったし、結婚するの初めてだったし、結婚したら女友達と2人で会わないほうがいいだとか、そういうことは全然考えてもいなかった。あと、俺らそういう関係じゃないだろ、っていうのも少しあった」
「あの時あたしにそう言ったんだっけ?」
「いや。馬鹿にされそうな気がして言えなかった」
「なるほど」

9年ぶりに会った男が離婚した理由は訊かなかった。
人づてに子供が出来たという話を聞いたような記憶もあるが、もしそうだとしたら尚更、「真偽を確かめたい」という己の欲求だけで気安く訊けることではない。
男が、永遠に続くと思っていた家族との別離に傷つかないほど鈍感でないことをあたしは知っているのだから。

「で、そっちは?変わったことあった?」

男がおおよその事情を聞き知っている可能性は大いにあったが、あたしは躊躇することなく、「年くっただけ」と答えた。
すると男は大きく笑ったあとで、「お互い追々ね」と言い添えた。

そうだった。
こんなんだった。
話したくなった時だけ話す。
話したくない時に訊かれたらはぐらかす。
お互いがそんな性格だったから楽に過ごせたのだということを、あたしは9年ぶりに思い出した。


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2009/09/08(火) 16:41 | DRAMATB:0
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